よしなしごと其之参拾伍



銀行マン

 この方は酔蝗のお客さんである。今はシステム屋であるが、以前は銀行マンで新人の頃、新宿二丁目の某銀行の支店に勤めていたそうである。
 銀行員と言うもんは当時新人でも預金獲得のノルマがあったんだそうで、その頃は年間3,000万だったそうである。えっ?と思うような額だが、繁華街のど真ん中の支店なので、普通より相当高めだったらしい。
 で、ある日のこと、支店内にいる時に汚いオカマが入ってきたんだそうである。同僚と、『なんじゃありゃ』なんて言ってたら、上司に『馬鹿!あれは良いお得意さんだ。貸金庫まで案内してこい!』と命じられたそうである。
 汚いオカマと貸金庫室に入ったその方は、銀行の規定かなんかで出るまで一緒にいなきゃいけなかったらしい。大体貸金庫室なんてもんはカメラがあるもんで、そこにも当然設置されていたようである。が、である。”死角”があったんだそうである。その汚いオカマ、カメラの死角にその方を連れ込んで、『握ってくれたら1億預金してあげる。』と言ったんだって。(失礼!でも、実話だから仕方ない)
 この方も大したもので、『1億は嘘でも100万でもラッキー』と思って握ったんだそうである(汗)満足した汚いオカマは『後でまた来るね』と言い残し、支店を後にした...
 数時間後、支店に汚いオカマがまた現れたんだそうである。両手にボストン・バッグ下げて。『預金お願いね』と言ってオカマが開いたボストン・バッグには、本当に1億入っていたんだって(滝汗)お陰で支店はパニック、この方は見事ノルマを達成し、支店長賞を受賞したんだそうである。
 オカマ、生辰綱でも襲ったに違いない...