よしなしごと其之五拾壱



Short One (語り部:よんたい賢弟)

 むかし神様のあらわれる泉というのがあったそうな。
 ある日、李鉄牛というものが、狩りをしていると自分の鉄の斧を誤って泉に落としてしまった。すると神様が現れて……
「あなたの落としたのは、この金の斧ですか?それとも銀の斧ですか?」
「ふざけるな!そんな派手で格好悪いヤツなんか使うか!!さっさとおいらの斧を返しやがれ!!」
「あ、あなたはほんとうに正直ものです……。では斧を二本にして差し上げましょう」
 こうして鉄牛は二丁斧の使い手になったという……。


Short Two (語り部:よんたい賢弟)

 またある日、索超というものが、武芸の鍛錬をしていると自分の鉄の斧を誤って泉に落としてしまった。
 すると神様が現れて、
「あなたの落としたのは、この金の斧ですか?それとも…アアーーーーーッッッッ!!」
ドカッ!
 気が短い索超は神様を殴り殺して、金の斧を手に入れた。
 こうして索超は急先鋒とあだ名され、金さん斧の使い手として知られるようになる……。
 そして、泉の神様は現れなくなったそうな……。