<悪女の深情け>
「水滸伝のどこが好きか?」と聞かれたら、「全部」と答えるしかないんじゃが、わしなりにいくつか「水滸伝らしさ」と思うものを書いてみようかの。
あっけらかんとした明るさがあること
結構水滸伝の好漢たちはえげつないことも、殺伐としたこともしとるんじゃが、なんでかちっとも暗くないんじゃな、不思議と。登場人物が無邪気なせいかの?
対方臘戦から結末にかけて、ほとんどの好漢が死んでしまうんじゃが、「三国志」の五丈原のくだりと並べると悲壮感がない。さっぱりしとる。そこが良いの。
娯楽に徹していること
わしは他の中国の本も好きじゃが、特に水滸伝は娯楽に徹していると思っとる。忠だの宗教だのが茶化されとって、説教臭くないところが良いの。
忠義なんて言葉は確かに水滸伝にも出て来るんじゃが、そんなことはほとんど一人しか口にせんからの。楽しいのが一番じゃ。
仲間がたくさん出て来ること
わし、実は寂しがり屋さんなんじゃよ。わしも友達は多い方じゃと思っとるけども、百八人も名前挙げろと言われれば、ちくっと苦しい。
何れにせよ、賑やかなのが大好きなんじゃ。もしかしたら、ポケモン世代には合うかも知れんぞ、水滸伝は。
反抗的であること
そもそも、わしの性格が反抗的と言うか傾奇者的と言うか、気に入らないものは気に入らないんでな。水滸伝はアウトロー達が主人公じゃから、なんとなく「あいでんちちぃ」を感じてしまうんじゃ。
知識の広がりがあること
ちょっと判りにくい言い方なんじゃが、要するに水滸伝を読んでいるとそれに関連して、いろいろ知識が広がって来ると言うことじゃよ。
好漢たちの渾名を見ても、三国志、封神演義その他史上の人物まで、かなり関連する人名が出て来るじゃろ。それを追いかけるだけでも、相当な知識になるはずじゃな。まぁ、世間的には何の役にも立たない知識じゃが...