<酔蝗的水滸伝の読み方のすすめ>
水滸伝は元々小説じゃから、何と言っても自分で読むのが一番じゃ。
まず、翻訳でも小説でも漫画でもそうじゃが、実は水滸伝は一種類だけではないんじゃよ。さっきわしが話した辺りまででお終いなのが、七十回本、その後に遼国征伐と方臘征伐のお話がくっついとるのが百回本、百回本の二つの征伐の間に田虎征伐、王慶征伐が挟まっとるのが百二十回本じゃ。全体の流れは、七十回辺りまでが好漢一人々々の列伝みたいなもんでの、その後が招安と言って泊軍の官軍への衣更え、そして外国、その他の反乱征伐、最後に梁山泊軍の崩壊が主題となっておるんじゃよ。
じゃが、実はそんなことどうでも良いことでの。だって、水滸伝を好きにならにゃあ話にならんじゃろ?そこでじゃ、わしから水滸伝が好きになる為の読み方を伝授しようかの。
1.最初は自分に合った本から読むべし
当たり前なようじゃが、大事なんじゃぞ。ほれ、好きな先生の教科は成績がいいんじゃが、嫌いな先生の教科はぼろぼろ、なんて覚えがあるじゃろ?あれじゃな。取り敢えず色んな本があるもんで、一度『鴨嘴灘』を覗いてみてくだされ。どれかご自分に合った本が見つかるかも知れんのでな。
2.面白いと思ったら、繰り返し読むべし
これも当然なんじゃが、なんと言っても水滸伝は長編大娯楽活劇小説じゃから、読む度に新しい発見があるのでな。月に一度でも、半年に一度でも、一年に一度でも良いから繰り返して読むことじゃな。「継続は力なり」じゃぞ。
3.好きになってきたら、他の本も読んでみるべし
中には商売だからやっとるものもおるかも知れんが、水滸伝を書いとる人は「水滸伝好き」が多いようでの。わしもそうじゃが、皆自分の持っとる「イメージ」を大切にしとる。
じゃから、大なり小なり違いがあるんじゃ。お前さんも幾つか読むうちに自分の「イメージ」が出来てくればしめたもんじゃ。益々面白くなって来るじゃろ。
ちなみにわしの林冲の「イメージ」は、ダーク系のダブルのスーツにレイバンのサングラスなんじゃ(^^;
4.一度は完訳ものを読むべし
きっと、ここまで来れば言うまでもないじゃろうが、「本来」の水滸伝を読むのも忘れんようにの。完訳されとる水滸伝で手に入り易いのは、駒田水滸伝、吉川・清水水滸伝、村上水滸伝の三つじゃ。それぞれ百二十回本、百回本、七十回本となっとるから、比べてみるのも面白いじゃろ。
5.完全にハマったら学者になるべし
わしは単なる一愛好家で水滸伝を楽しみたいだけでの、難しいことを自分で調べる能力はないんじゃが、人様から新しい話を聞くのは好きなんじゃよ。不精なんでの。じゃから、もし学者になって「こんなことを知ってるか?」とか「こんな論文をものしたぞ」とか言うことがあったら、待ってますぞ!