兵家書房


 兵家関連の書籍じゃ。訳本と小説と両方じゃな。現在、掲載数25じゃな。



孫子  岩波書店
金谷治氏訳注。非常に薄い本です。全部で160ページ程度。訳もシンプルで、持ち歩くには最適。十八年来の御付き合いです。いつもカバンに入ってるんで、手垢でぼろぼろ...

孫子  明徳出版社
田所義行氏訳。訳よりも解説に重きを置います。孫子そのものの内容を知りたい人には向かないかも。

孫子  講談社
浅野裕一氏訳。1972年に出土した竹簡本孫子の訳本。孫子そのものの内容も、訳、解説も優れています。お薦めです。

呉子  明徳出版社
松井武男氏訳。春秋時代の衛に生まれ、魯、魏、楚で将軍となった呉起の兵法書と言われてるけど、作者は不明。呉子の内容は魏の武侯との対話がほとんど。訳本で比較するものがないのでコメントはなし。

六韜・三略  明徳出版社
岡田脩氏訳。六韜は周の太公望呂尚の書、三略は黄石公が漢の張良に与えた書なんて言われてるけど、実は偽書。でも、偽書だと言うことと内容が優れていると言うことは別問題なので、今日まで残ってます。六韜は周の文王・武王と太公望の対話に仮託されて書かれています。訳本で比較するものがないのでコメントはなし。

尉繚子  明徳出版社
萩庭勇氏訳。秦の将軍尉繚の書と言われていますが、はっきりしません。訳本で比較するものがないのでコメントはなし。

百戦奇略  徳間書店
永井義男氏訳。明初の劉基の兵法書。武経七書からの引用と各項目に対するケーススタディが記載される。(「百戦奇略」そのものの説明です。)訳本で比較するものがないのでコメントはなし。

兵法三十六計  三笠書房
守屋洋氏訳。「三十六計逃ぐるに如かず」で有名。これの第二計は、関勝が使った「囲魏救趙」。訳本で比較するものがないのでコメントはなし。

孫子の世界  中央公論社
加地伸行氏編。多くの方が書かれた孫子に対する論文をまとめたもの。娯楽としては面白いものでは有りませんが、知的好奇心を満たしてくれます。

中国兵法の発想  徳間書店
村山孚氏著。「孫子」の思想の解説を行っています。応用例は戦例ではなく、企業経営、日常などから選択しています。ビジネス書的。

「孫子」を読む  PHP文庫
松本一男氏著。孫子の特徴、孫武、孫ぴんのエピソード、内容の訳、解説等。ビジネス書だが、戦例を古今東西から引用していて判り易い。

孫子  講談社
海音寺潮五郎氏著。孫子小説の定版。孫武、孫ぴんの両孫子のエピソードを膨らまして小説にしたもの。面白いです。

小説 孫子の兵法  光文社
上下二巻。鄭飛石氏著。孫武を主人公にした小説。海音寺氏のものより兵法色が濃く出ています。中国を題材に朝鮮の人が書いた小説の日本語訳です??面白いですよ。

中国劇画 孫子の兵法  原書房
全八巻。陳舜臣氏翻訳監修。孫子の一文ごとに中国史上の実例を上げて、劇画化したもの。これほど一般の人に孫子を理解させる本は無い!超お薦め!!すばらしい!!!絵も味があります。

詳解 戦争論  中央公論社
柘植久慶氏訳?。東の孫子と言えば、西のクラウゼヴィッツ。一応、参考までに載せておきます。この柘植さんと言う方、確か元グリーンベレーだか何かで小説家だったと思います。やっぱり、私は孫子が好き。だって、本の厚さが全然違うもん...

銀河英雄伝説  徳間書店
田中芳樹氏著。何で?と思うでしょうが、孫子を読んだ人が読むと面白いんです。この本は。ヤン・ウェンリーvsラインハルト・フォン・ローエングラムの対戦は、名前、戦略からして孫子vsクラウゼヴィッツです。兵法はよく知っておられるようですね、田中氏は。隋唐演義は期待外れだったけど...

兵法三国志  新正堂
田中久氏著。偶然見つけた昭和17年の本で、著者が「陸軍大佐 田中久」となっています。序文を書いているのが、あの石原完爾!読み物的な内容だけど、軍人の書いた軍略研究書なので、ちょっと珍しいかな。正史を元にしているけど、重要な部分については戦史上無視できないので演義も対照としている、と自序で述べられています。所々に所見として、戦略の解説が入っています。

全訳武経七書 司馬法・尉繚子・李衛公問対  プレジデント社
守屋洋氏著。遂にでました、李衛公問対の全訳!待ってたのよ〜なんたって、唐の太宗李世民と李靖(そう、封神演義にもいたでしょ)の兵法談義ですからね〜詰まらない筈はありません。守屋さんの本は安心して読めるし。内容的には他の武経七書が兵法の原理書だとすれば、これは兵書の解説書に近いです。が、問答しているこの二人、ご存じのように実戦のプロ中のプロですから、唐代での解釈方法として面白い。読み物としても面白いかも。プレジデント社の本だけど、ビジネス書臭くないとこがまた良い。しかも、司馬法・尉繚子も付いてます。

兵法問對  立命館出版部
北村佳逸氏著。昭和十八年発行の訳&解説本。古本市で目に止まって、「なんだ、これ?」と開いてみたら『李衛公問対』でした。ところがぎっちょんちょん、本の中にはどこにも書いてありませんな。紙質、装幀の悪さは、いかにも戦前の本。8000部も出したらしいけど、売れたのかな?原文、読み下し、現代語訳、解説の構成で、見た目に因らず良い本かも。最後に唐太宗李世民と李靖の紹介がちょこっとだけ付いてます。一般読者向けと言うより、軍人向けに書いた本みたいですね、どうやら。(兵書だから当然か...)

新訂孫子  岩波書店
金谷治氏訳注。本屋さんに行ったら岩波「孫子」が無かったんで、「まさか絶版(汗)」と思ったら新訂版で登場でした。銀雀山出土の『竹簡孫子』で校定しているところと同時出土の『孫ぴん兵法』を参考にしているよころが旧版との違いです。底本自体は旧版と同じなんで、がらっと変わるほどの変更はないです。必読ですな。

七書 鬼谷子  有朋堂書店
塚本哲三氏訳注。私のお気に入り、有朋堂文庫の中の一冊です。昭和三年刊の本で、一冊に孫子・呉子・六韜・三略・尉繚子・司馬法・李衛公問対が入ってます。内容的には訓点付きの原文と読み下し文、脚注からなってます。これなら今持ってる本で足りるじゃん、と思うでしょ?でも、これ「鬼谷子」も入ってるんですよ。戦国の縦横家蘇秦の師匠鬼谷子の本と言われてますが、後世の仮託みたいです。遊説哲学の本なんでしょうね。仕事で使えるかな?(笑)でも、非常に難しい本で、一度や二度読んだくらいじゃ良く分からない...

宋本十一家孫子注  江蘇廣陵古籍刻印社
南宋刻本の『十一家註孫子』の影印本です。よく宋本は良いって聞きますが、凄く綺麗な版本です。で、内容は、見た通りに孫子本文に曹操、杜佑、李筌、杜牧、陳こう、賈林、孟氏、梅堯臣、王皙、何延錫、張預ら十一人の注が入ったものです。この注が読みたくて買ったんですよねー

簡明中国古代兵学詞典  黄河出版社
中文の兵学辞典です。兵法・兵制・軍事地理・装備・軍事関連の人物・天文・古典籍等の範疇を含みます。まぁ、読み物ではないんで、コメントはあんまりないんですけど、値段が安い割にりっぱな本なんで嬉しいなぁ(笑)でも、普通の人が買う本じゃないとも言える...

「孫子」を読む  講談社
浅野裕一氏著。講談社現代新書の一冊です。底本は銀雀山漢墓出土竹簡本の欠けた箇所を『宋本十一家注孫子』と『武経七書孫子』で補完したものとなってます。内容は、序・『孫子』の成立過程背景解説・訳と解説・日本における『孫子』となってますが、凄く濃い内容です。でも、そんなに難しくないので、初めて『孫子』を読まれる方にはお勧めです。特に序の部分、10ページ足らずの文章ですが、これほど簡潔に『孫子』を語ったものを見たことがありません。この方の『孫子』関係は2冊目ですが、流石です。とても只の中文中哲の先生とは思えません。既にして、”兵家”とお呼びしてもよいのではと思われます。

戦略論 間接的アプローチ  原書房New!
B・H・リデル・ハート著/森沢亀鶴訳。40年程前の近代兵学の超有名な本ですが、訳が出たのは20年前で、マニアックなだけに古書でも高くて手が出なかったんですが、遂に昨年オンデマンドで再刊されました。このリデル・ハートと言う方、イギリスの方なんですが、きわめて孫子的戦略発想の持ち主です。元軍人の軍事評論家で、『孫子』は熟読して傾倒していたようですが、読んだ限りでは正しく孫子直系の弟子と言っても良いかと。サブタイトルの「間接的アプローチ」と言うのが基本的な考え方ですが、敵に対して直接的な攻撃を行うことを避け、間接的手段を駆使して敵を無力化せよ、ってことです。内容的には、ギリシャ・ローマの頃から第一次大戦まで、第一次大戦、第二次大戦のそれぞれの主要な戦いの分析、最後にまとめとしてリデル・ハートの戦略論と言う構成ですが、両大戦の主要戦線毎の勝因分析がメインと考えて頂ければ良いと思います。『孫子』は短い文章で戦略のコアの部分だけを抽出濃縮したような本なので比較的難解と言われますが、この本は実例の解説から戦略論のあり方を説いているので分かり易いと思います。