<陰陽五行説>
遼軍の布いた太乙混天象の陣はご存じかな?あれは九天玄女娘々のお教えで打ち破ったんですが、その道理は陰陽五行説に則っているんですな。そこで私、神機軍師 朱武がその理を少しだけ伝授いたしましょう。
そもそも陰陽五行説と言うのは、簡単に言えば中国の哲学的な宇宙観の法則みたいなものです。”この世のありとあらゆる森羅万象は、この法則に則って運行している”、とする考え方ですな。易などは、この法則から現在・未来全ての事象を解き明かすために大系化されたものと言うことになります。
これを全部ご説明するのは、それこそ大変なことですので、考え方だけ簡単にご説明してみましょう。
さて、一口に陰陽五行と言いますが、これは陰陽説と五行説から成っております。
まず陰陽説ですが、これは森羅万象は相対的な状態を持つとする概念です。”男女”・”天地”・”明暗”などのようなものですね。そして、これらはお互いにバランスを取りつつ、森羅万象を構成しているのです。また、”陰”と”陽”の中にも、それぞれ相反する状態も存在します。これらを称して”四象”と呼びます。
例を取って考えてみましょうか。
朝、日の出とともに太陽が出てくる状態、これは夜の”陰”から”陽”に移行する状態で、”陰中の陽”の状態です。(少陰)昼間、太陽が昇っている状態、これは将に”陽中の陽”の状態ですね。(太陽)夕方、日が沈む状態は”陽”から”陰”に移行する状態ですので”陽中の陰”の状態です。(少陽)そして夜は”陰中の陰”の状態ですね。(太陰)
この”四象”の象徴が、よく見掛けるtown&country、否、太極図ですな(汗)
このように”陰”と”陽”の消長で、森羅万象の調和が保たれるとするのが陰陽説の概要です。
もう一つの五行説ですが、これは森羅万象を構成する”木・火・土・金・水”の五つの元素のことで、お互いに作用しあう関係にあります。これが、”相生相克”です。下の図はこの関係を図示したものです。
”相生”とは事象の生成を表す関係で、
・木生火(木は火を生ずる)
・火生土(火は土を生ずる)
・土生金(土は金を生ずる)
・金生水(金は水を生ずる)
・水生木(水は木を生ずる)
となり、”相克”とは事象の対立を表す関係で、
・木克土(木は土に勝つ)
・土克水(土は水に勝つ)
・水克火(水は火に勝つ)
・火克金(火は金に勝つ)
・金克木(金は木に勝つ)
となります。
また、森羅万象は五行いづれかの性質を持つと考えられています。この配当の抜粋を示したものが下の表です。
陰陽 |
陽 |
半陰陽 |
陰 |
五行 |
木 |
火 |
土 |
金 |
水 |
五方 |
東 |
南 |
中央 |
西 |
北 |
五色 |
青 |
赤 |
黄 |
白 |
黒 |
五時 |
春 |
夏 |
土用 |
秋 |
冬 |
五臓 |
肝臓 |
心臓 |
膵臓 |
肺臓 |
腎臓 |
五味 |
酸っぱい |
苦い |
甘い |
辛い |
塩辛い |
五神 |
青龍 |
朱雀 |
黄龍 |
白虎 |
玄武 |
十干 |
甲乙 |
丙丁 |
戊己 |
庚辛 |
壬癸 |
十二支 |
寅卯 |
巳午 |
辰未戌丑 |
申酉 |
亥子 |
このように森羅万象は五行の属性を持ち、”相生相克”の理によって変化循環すると言うのが、五行説です。
ついでに言っておくと太乙とは、北極星、また天帝を指します。いずれにしても宇宙の中心のことには違いありますまい。羅[日侯]・計都は彗星とも妖星とも言われていますが、日蝕月蝕を起こすものとされています。
極めて簡単ではありますが、このくらい分かれば九天玄女娘々のお言葉の意味も理解できるのではないかと思います、はい。