<漢詩の構成>
漢詩、是即ち士大夫の教養ですので、梁山泊一の家柄を誇る私、小旋風 柴進が解説しましょう。
さて、漢詩の構成と言ってもこれを全部解説したら、それだけで一冊本ができてしまいますので、七言絶句だけ取り上げさせていただくことにいたします。
七言絶句、習いましたでしょ?高校生の頃に。七言絶句は唐代に整った詩の形式で、近体詩と呼ばれるものです。近体詩には大雑把に言うと四句から成る”絶句”と八句から成る”律詩”に分かれ、それぞれ一句の文字数で”五言””七言”と分類されます。ですから、七言絶句は「一句が七文字で構成される四句から成る詩形」と言うことになりますね。そして、それぞれの句を起句・承句・転句・結句と呼びます。そう、”起承転結”です。
ここまでは文字数だけの問題ですからさほど難しくないんですけども、ここからが定型詩の定型詩たる所以です。
七言絶句は定型詩ですから、一定の規則があります。
(一)韻
句の最後に来る文字の発音を揃えることで、「脚韻」とか「押韻」とか「韻を踏む」なんて言います。七言絶句の場合、一・二・四句の最後を同じ発音にします。ここで言う”発音”は中国語の発音のことで、平声・上声・去声・入声の四声があって平声を”平韻”、平声以外を”仄韻”と呼びます。
が、これらは発声方法の違いで、これに発音が着くと一〇六種類の韻になります。漢和辞典の最後によく「韻字一覧」として出ていたりします。そして、どの漢字がそれらの一〇六韻のどれにあたるのかを調べるのが”圏点”と言われるものです。大体、□の四隅のいずれかに印がしてあって、中に一〇六韻の漢字が一文字書かれているもので、漢和辞典で何か漢字を見てみると多分出ている筈です。これを見ると、その漢字の発音が判る仕組みになっています。
七言絶句では、特に押韻は”平韻”で踏まなければなりません。
(二)平仄
これは先程の韻でも出てきた文字の発音の、”押韻”以外の規則ですな。つまり、七言絶句であれば四×七=二十八文字の発音が、どうでなければならないかの決め事です。
これを説明するのによく○●を使います。
○:平字
●:仄字
◎:韻字(平字)
七言絶句の平仄には二種類の原則があって、起句の出だしによって決まります。
七言絶句平起式:起句二文字目が平字のもの
起句○○●●●○◎
承句●●○○●●◎
転句●●○○○●●
結句○○●●●○◎
七言絶句仄起式:起句二文字目が仄字のもの
起句●●○○●●◎
承句○○●●●○◎
転句○○●●○○●
結句●●○○●●◎
先程述べたように、七言絶句はどちらも一・二・四句の最後は押韻で”平韻”になります。
(三)他の規則
大きな規則は上記のものですが、それ以外にもまだまだ規則があります。
※二、四文字目は平仄が同じではいけません。
※二、六文字目は平仄が同じでなければいけません。
※一、三、五文字目の平仄はどちらでも良いと言う規則です。
※平字が一字だけ仄字に挟まれるのはいけません。(孤平)
※句の最後の三文字が全て平字であってはいけません。
※同句内は問題ありませんが、同じ字を別の句の中で使ってはいけません。
※脚韻と同韻の文字を他で使ってはいけません。
他にもあるようですが、大体こんなところのようです。これを前述の平仄と合わせてみると、平仄の規則は下のようになります。△は平仄どちらでも良いと言うことです。でも、孤平には気を付けなければいけませんね。
七言絶句平起式
起句△○△●●○◎
承句△●△○△●◎
転句△●△○○●●
結句△○△●●○◎
七言絶句仄起式
起句△●△○△●◎
承句△○△●●○◎
転句△○△●○○●
結句△●△○△●◎
どうでした?難しかったでしょう?だから、TOPの漢詩も笑わないであげてくださいね(爆)