<詞>
カラオケ大魔王こと、鉄叫子 楽和でございます。”うた”なら私以外に誰がいましょうや?
本伝完訳本を読まれた方はおわかりでしょうが、水滸伝には至るところに漢詩が出てまいります。各回の始め、好漢登場場面、派手な戦闘場面、作品中で好漢が詩を吟ずるところもありますよね。
そして、所々に出て来る謎の言葉にお気付きですか?
こんなのです。
西江月、臨江仙、満江紅、木蘭花、etc.
ありましたか?で、こんな謎の言葉が付いてるものは”詩”でなくて、”詞”と書いてあるでしょう。
”詩”と言うと中華ですから漢詩ですね。いわゆる五文字を一句として四句からなる五言絶句、七文字四句の七言絶句、五文字八句の五言律詩、七文字八句の七言律詩など学校で習ったでしょう?その他古詩なんて言うのもあります。
こう言うのは士太夫のたしなみで、庶民なんどには難しいんですね。やれ、韻を踏めだとか文語でないといけないとか何だとか...
それに対して”詞”は、字で判るように歌詞ですね。
”詞”は唐代に西域から入って来た胡楽が斬新さ故に大ウケして、そんな曲調に歌を付けたのが流行したもののようです。まぁ、倭国で言えば、ロックンロールに対するロカビリーとか、グループサウンズと言えば良いでしょう。(ふ、古いっ)
”詞”はいわゆる流行歌ですから、俗語があっても全然構わないし、曲に載ればいいから句の語数なんてなんでもいいし、庶民にも聞いてて理解できて、歌えたんです。
そして、曲ごとに皆が勝手に歌詞として作り出したのが、”詞”です。替え歌みたいなものかな?つまり、上に挙げたのはこの”曲”名ですね。
それが大宋に入ってから全盛を極めたんですね。何と言っても風流皇帝の徽宗を出した王朝ですからね。それに宋は唐と共に漢詩上の隆盛王朝だったんですよ。蘇軾、又の名を蘇東坡と言えばご存じの方も居りましょう、李白、杜甫、白居易などと並ぶ大詩人が出ていますよね。
宋江兄ぃが潯陽楼で書いた、最初の方は”西江月”調の”詞”でしたでしょ?私に歌わせて李逵と喧嘩になりそうになったのは、”満江紅”調。どうも宋江兄ぃは酔って作詞するとろくなことになりませんね...