宋清 | 「...先生、俺だって一応、好漢だよねぇ?」 |
安道全 | 「そうじゃよ。何を今更...」 |
宋清 | 「だってさぁ、皆が兄貴の七光だって言うからさぁ...」 |
安道全 | 「...まぁ、経緯からすると、そうじゃが...」 |
宋清 | 「あ、先生まで!」 |
安道全 | 「いや、すまん。一般論としてそうじゃと言うておる。わしは思っとらんよ、そんなこと。」 |
宋清 | 「そうなら良いけど...」 |
安道全 | 「で、お前さんはどうしたいんじゃ?」 |
宋清 | 「俺だって、宴席ばっかじゃなくて、たまには打物取って手柄立ててさぁ、出世したいよ。」 |
安道全 | 「出世と言ったって、山の順位は固定じゃから...」 |
宋清 | 「あぁ、そうか...でも、手柄立てたら少しは陰口減るだろ?」 |
安道全 | 「そうじゃな。では、林師範に槍でも習うてはどうじゃ?」 |
宋清 | 「槍なんか皆使うからだめだよぉ。」 |
安道全 | 「では、呼延将軍か孫提轄に鞭を習うのは?」 |
宋清 | 「重いじゃん、あれ。やだなぁ。」 |
安道全 | 「そしたら、小乙兄ぃに四川弓習えば?」 |
宋清 | 「飛び道具は卑怯じゃん...」 |
安道全 | 「わがまま言うてはいかんよ。じゃあ、何を使いたいんじゃ?」 |
宋清 | 「軽くて、苦労しなくても上達できて、誰も使ってなくて、思わず皆がおぉって感動する奴。」 |
安道全 | 「例えば?」 |
宋清 | 「扇子」 |
安道全 | 「おぉ、鉄扇か。あれも威力あるな。松平忠輝も使ってたし...」 |
宋清 | 「鉄で出来てたら、重いじゃん。」 |
安道全 | 「?」 |
宋清 | 「普通の扇子だよ。」 |
安道全 | 「ほほぅ、修行して何か新しい武道でも?」 |
宋清 | 「苦労はやだって言ったじゃん。何聞いてるのよ、先生。」 |
安道全 | 「...」 |
宋清 | 「だからさぁ、扇子使った凄い技考えてよ、先生。」 |
安道全 | 「...」 |
宋清 | 「皆が感動して、宋清やるじゃんって思うようなのじゃなきゃ、いやだよ。」 |