楊雄 | 「何でしょう、軍師。われらだけを呼び出して。」 |
李逵 | 「呑ましてくれるんだろー。」 |
鄭天寿 | 「ただ呑むだけにしちゃ、面子が妙だろ?」 |
楊志 | 「確かに。なんか理由があろうよ。」 |
劉唐 | 「聞いちまった方が早ぇよ、なぁ軍師。」 |
呉用 | 「お主らに集まって貰ったのは、内密で特別任務の内示があってな。」 |
楊志 | 「特別任務?」 |
呉用 | 「左様。宋江兄貴直々のご指名でな。」 |
李逵 | 「兄貴直々の命令なら、おいら命だってくれてやらぁ。」 |
楊雄 | 「わしもだぞ。」 |
劉唐 | 「当然だろ。おいらたちの総頭領なんだから、兄貴は。」 |
鄭天寿 | 「で、何するんです?」 |
呉用 | 「まぁ、そう急かさんで、酒でも呑まんか?」 |
劉唐 | 「おぉ、そうこなくっちゃ。」 |
李逵 | 「おいらも呑むぞー。」 |
楊志 | 「ちょっと待て。まず、聞いてからでないと気になって酒も飲めんわ。」 |
楊雄 | 「そうだな。」 |
鄭天寿 | 「何でもしますから、ちゃっちゃと言っちまってくださいよ、軍師。」 |
呉用 | 「う、うん。まぁ、そう言うなら言わんでもないが...」 |
劉唐 | 「そんな危険な任務なんで?」 |
呉用 | 「いや、危険はない...とも言えんが...」 |
楊志 | 「我ら、これでも好漢の端くれのつもり。多少のことでは驚かぬ位の肝はある。」 |
呉用 | 「まぁ、そんなに目くじら立てんで...」 |
楊雄 | 「そんなに信用ありませんか、我らは?」 |
呉用 | 「ちょっと待て。そう言うことではないんだよ...」 |
李逵 | 「軍師、おいらの斧はよく切れるぞ。」 |
呉用 | 「分かった。はっきり言おう。実は...」 |
鄭天寿 | 「実は?」 |
呉用 | 「実は宋江兄貴が、酒の席でな...」 |
楊雄 | 「さ、酒の席...」 |
呉用 | 「新しい軍略を思い付いて...」 |
鄭天寿 | 「なんか嫌な予感がするなぁ...」 |
呉用 | 「特別伝令隊を作りたいと...」 |
楊志 | 「ほう、特殊部隊の謂ですな。」 |
呉用 | 「特殊部隊と言えないこともないんだが、ちっと違うようでな。」 |
楊雄 | 「どういう風に...?」 |
呉用 | 「今まで各隊への指示は太鼓・鉦・旗を以って、行なっておったが...」 |
劉唐 | 「ふんふん。」 |
呉用 | 「どうも敵に覚られる恐れがある。そこで各隊への指示を特別伝令隊を以って行うと...」 |
楊雄 | 「今だって、戴宗兄ぃや小乙兄ぃでやってるんじゃ...」 |
呉用 | 「そこなんだが、宋江兄貴曰く、特別伝令隊は何も伝えんで良いと...」 |
鄭天寿 | 「え、伝令なんでしょ?」 |
李逵 | 「伝令ってなんだ?」 |
呉用 | 「各隊へ行って、顔を見せるだけで良いと言うんだ。」 |
楊志 | 「なるほど、我ら自信が信号の替りと言う訳ですな。」 |
楊雄 | 「それは分かったが、なんで俺達を指名したのか...」 |
劉唐 | 「あぁ、そうか。それ、聞いてねぇな。」 |
呉用 | 「いや、兄貴がな、誰がどの信号か分かるように色分けまで考えたと...」 |
鄭天寿 | 「色分けって、まさか...」 |
呉用 | 「ビンゴ...」 |
楊志 | 「...」 |
劉唐 | 「...」 |
楊雄 | 「.....」 |
李逵 | 「全然わかんねぇぞ。」 |