施恩 | 「なぁ、俺ってさぁ、評判悪くないか?」 |
李忠 | 「そんなことないだろ。」 |
施恩 | 「そうかなぁ、気になっちまってさぁ。」 |
李忠 | 「なんかあった?」 |
施恩 | 「いや、何があったって訳じゃないんだけどさぁ...」 |
李忠 | 「じゃあ、なんで?」 |
施恩 | 「俺、最初に武松兄ぃに助けてもらったじゃん。」 |
李忠 | 「あぁ、知ってるよ。」 |
施恩 | 「あの時は蒋門神にやられたばっかで、包帯だらけだったし...」 |
李忠 | 「うん。」 |
施恩 | 「その後も縄張り取り返されて、またやられて...」 |
李忠 | 「なんか判る気がしてきた...」 |
施恩 | 「で、その後手柄なしじゃんか。こう、肩身が狭いって言うかさぁ...」 |
李忠 | 「ダメ好漢と見られてるんじゃないか、って言うんだろ?」 |
施恩 | 「そうなんだよ。」 |
李忠 | 「実は俺もそうなんだよ...」 |
施恩 | 「え?そうなの?」 |
李忠 | 「俺も手柄ないしさぁ、魯智深達と逢った時、大道芸人だったじゃん。」 |
施恩 | 「うん。」 |
李忠 | 「金ケチって出さなかったんじゃなくて、本当に貧乏だったんだよ、あの時。」 |
施恩 | 「うんうん。」 |
李忠 | 「なのに、金に細かいとか、甲斐性なしとか思われてさぁ。そりゃあ、家が金持ちとか仕事で羽振りが良けりゃ出したかったけど、無い袖は振れねぇじゃねぇか。」 |
施恩 | 「ご尤も...」 |
李忠 | 「桃花山の時も周通に頭にされたばっかりでさぁ、山のお宝ってほとんど周通が稼いだもんだったから、ちょっと周通に済まないから自分で稼いで来ようと思っただけなのに...」 |
施恩 | 「第一印象って恐いよねぇ...」 |
李忠 | 「そうだよねぇ。自分じゃ、どうしようもないもんなぁ...」 |