石勇 | 「ねぇ、柴大官人。ちょっとお願いがあるんですが...」 |
柴進 | 「どうしたんです?改まって。」 |
石勇 | 「いや、言い難いんですけど...」 |
柴進 | 「何をおっしゃるやら。私とあなたは兄弟ではありませんか。」 |
石勇 | 「柴大官人にそんなこと言われると照れちまう。いやね、ここんとこ負けが込んでて小遣い銭がね...」 |
柴進 | 「ああ、博打ですね。それでいかほどご入り用です?」 |
石勇 | 「申し訳ねぇ。じゃあ、三十両ほど都合して頂けやすか?今度絶対返しやすんで...」 |
柴進 | 「いや、返すなどとんでもない。どうか使ってください。」 |
石勇 | 「そんなことして頂いちゃあ困りますよ...」 |
柴進 | 「良いんですって。私、やんごとなき生まれなんで、金なんか使ったことないから貯まる一方で...」 |
石勇 | 「...そ、それはまたなんと言うか...羨ましい限りで...」 |
柴進 | 「だから、気にせず持っていってください。」 |
石勇 | 「じゃあ、お言葉に甘えまして...赤い位牌に大官人の名前書いて、朝夕拝ませて貰いやす。」 |
柴進 | 「あはは、大仰な。」 |
石勇 | 「本当ですよ。漢に二言はありやせんぜ。」 |
柴進 | 「では、お気の済むように拝んで頂きましょう。」 |
石勇 | 「へぇ。ありがとうございやす。」 |