楊雄 | 「...」 |
石秀 | 「どうした、哥々?梅雨も明けようってのにそんな顔して...」 |
楊雄 | 「ん?いや、なんでもないんだ、賢弟。」 |
石秀 | 「なんか悩みがあるなら言ってくれ、哥々。力になるから。」 |
楊雄 | 「別に悩みなんかないよ。」 |
石秀 | 「でも、何か変だぜ。」 |
楊雄 | 「今朝の夢見が悪かっただけだ。」 |
石秀 | 「夢?」 |
楊雄 | 「気にしてる訳じゃないんだが、妙な夢だったから。」 |
石秀 | 「どんな?」 |
楊雄 | 「毛の白い龍がな、俺を乗せて渦から出てきて瑞雲に入って行くんだ。そこに見知らぬ女がいる。そこで目が覚めた...」 |
石秀 | 「よく判らないけど、まぁ吉夢みたいだな。」 |
楊雄 | 「根拠は?」 |
石秀 | 「龍は聖獣だから縁起よさそうだし。天に昇ったって言うのは、出世することの暗示か。そこに女がいたなら、再婚できるってことだろう。毛が白い龍だから、長生きできるんじゃないか?」 |
楊雄 | 「なるほどなぁ。すごく善い夢だって言うことか。」 |
石秀 | 「これだけ並べば、文句のない人生だろ、哥々。」 |
楊雄 | 「賢弟!呑んでくれ!今日はおごるぞ。」 |
石秀 | 「おめでとう、哥々。将来は明るいな。」 |
楊雄 | 「今度五台山に行ったら、智真老師に聞いてみよう。」 |
石秀 | 「それがいいだろう。あの方なら、偈でもくださるかも。」 |
楊雄 | 「賢弟はいつもながら、頼りになるな。」 |
石秀 | 「何を今更。さぁ、前祝いでじゃんじゃん呑もう。」 |
楊雄 | 「おぅ、望むところだ!」 |