解珍 | 「なんすか、軍師。内密な話って?」 |
解宝 | 「なんか、上層部から内密って言われるとろくな話じゃないって、専らの噂ですよ。」 |
呉用 | 「何を言うか。本当に重要な打ち合わせなんだぞ。」 |
解珍 | 「判りやした、伺います。」 |
呉用 | 「実は、お主らの猟師の腕を見込んでの頼みなんじゃが...」 |
解宝 | 「へぇ、珍しい。なんか獲りますんで?」 |
呉用 | 「ここだけの話じゃぞ。話が広まると騒ぎになるでな...」 |
解珍 | 「な、なんです?恐いな...」 |
呉用 | 「実はじゃな、虎が出るんじゃよ。梁山泊に...」 |
解宝 | 「え〜、嘘でしょう。おいらたち猟師だから、山見りゃ大体判るけど、ここに虎なんて...」 |
呉用 | 「それが出たんじゃよ。怪我人も出ておるんじゃよ。」 |
解珍 | 「本当なら、大変じゃねぇですか。」 |
呉用 | 「そうなんじゃよ。わしもほとほと参っておる...」 |
解宝 | 「?」 |
呉用 | 「いや、罠に掛からんのでな、虎が...」 |
解珍 | 「つまり、そいつを仕留めりゃいいんですね?」 |
呉用 | 「そうなんじゃが、生け捕って欲しいんじゃよ。」 |
解宝 | 「難しいなぁ。」 |
呉用 | 「あー、宋江兄ぃが山に動物園を作ると言ってな...」 |
解珍 | 「動物園...」 |
呉用 | 「どうじゃ。出来んかな?」 |
解宝 | 「やろうぜ、兄貴。これでも登州一と言われた俺達だ。たかが虎一匹、どうってことねぇよ。」 |
解珍 | 「そうだな。これを断っちゃあ、猟師の名が廃るってもんだぜ。」 |
呉用 | 「やってくれるか。」 |
解珍 | 「承知しやした。ただ、期限は切らねぇでくださいよ。」 |
呉用 | 「承知した。で、どうやる?」 |
解宝 | 「生け捕りだと、ここは稚拙だが落とし穴しかあるめぇな。」 |
解珍 | 「廻りに紐掛け回して、鈴でもぶら下げときゃすぐに判るな。」 |
呉用 | 「流石は解兄弟だ。あくまで内密じゃぞ。で、出没する場所だが...」 |