呉用 | 「近頃は流石に魯智深も武松も大人しいようだな。」 |
裴宣 | 「虎の罠作戦で抜け酒がばれたので、少しは懲りたんでしょう。」 |
呉用 | 「うん。自分で言うのもなんだが、あんな作戦に引っ掛かるとは思わなかったよ。」 |
裴宣 | 「いや、解兄弟を使う辺り、さすがは軍師ですな。」 |
呉用 | 「うふ、そうか?」 |
裴宣 | 「しかし、よく抜け酒してるの気付きましたね。」 |
呉用 | 「『彼を知り己を知らば百戦して殆うからず』だよ。奴らのことだ、告示くらいで懲りはすまい。」 |
裴宣 | 「なるほど、兵法の応用でしたか...」 |
呉用 | 「一応、軍師だからな。」 |
裴宣 | 「宋江兄ぃにも褒められたし、魯智深たちもこのままいい子になれば、軍師の評判も上がるでしょう。」 |
呉用 | 「まぁ、軍師は山の『お母さん』みたいなもんだから、躾は仕事の内だよ。」 |
裴宣 | 「また、ご謙遜を...」 |
呉用 | 「他にも素行に問題のある連中がいたら、いつでも言うように告示しておいてくれ。」 |
裴宣 | 「判りました。」 |
呉用 | 「やはり、こういう事は実績が物を言うからな。」 |
裴宣 | 「育児コンサルタントとか、アドバイザーなんてのもできそうですな。」 |
呉用 | 「知らんのか?わしは寺子屋の先生だったんだぞ。」 |
裴宣 | 「あっ、そうでしたっけ。お見逸れしました。」 |
呉用 | 「何、それほどでもないわさ。」 |
裴宣 | 「しかし、大人しいのもいいけど、大人し過ぎませんか?あの二人...」 |
呉用 | 「何故だ?」 |
裴宣 | 「ここ一日二日、見掛けないような気がするんですが...」 |
呉用 | 「大方、里に下りて呑んでるんだろ。心置きなく呑むにはそれしかないからな。」 |
裴宣 | 「でも、許可出してませんが...」 |
呉用 | 「まったく、問題児どもめ!まだ躾が必要なのか...」 |
朱富 | 「ぐ、軍師!すぐ来てください!大変なんだから!」 |
裴宣 | 「どうした?慌てて...」 |
朱富 | 「何でもいいから、早く来てください!安先生も呼んでありますから!」 |