樊瑞 | 「それがしが先生に就いて修行を始めてから、随分経ちましたなぁ。」 |
公孫勝 | 「うむ、そうじゃな。」 |
樊瑞 | 「霊山に籠もっての修行じゃないし、いろいろあるから専念できた訳じゃないですけどね。」 |
公孫勝 | 「まぁ、今の環境ではベストの修行をさせとるつもりじゃがな。」 |
樊瑞 | 「いや、別に先生を批判してる訳じゃないですよ。」 |
公孫勝 | 「判ってるつもりじゃが、どうしたんじゃ?今日は?」 |
樊瑞 | 「それがしの如き未熟者が、酔いに任せて師に物を言うなど...」 |
公孫勝 | 「どうせ今日はわしも酔ってるから、気にすることもなかろうに...」 |
樊瑞 | 「いや、やっぱり止めにしておきます。」 |
公孫勝 | 「では、師命じゃ。言うてみよ。」 |
樊瑞 | 「そうですか。では、お言葉に甘えて...」 |
公孫勝 | 「何じゃな?」 |
樊瑞 | 「それがしの術では、今の所雨風を起こすのが精一杯...」 |
公孫勝 | 「いや、りっぱなものじゃぞ。」 |
樊瑞 | 「ありがとうございます。しかし、今後の戦で先生と別の隊として従軍した場合、敵に妖術使いがいると今のそれがしにはちと荷が勝ち過ぎます。」 |
公孫勝 | 「さもあろう...」 |
樊瑞 | 「そこで、何か強力な術を教えていただければ、山の役にも立とうかと思いまして...」 |
公孫勝 | 「なんじゃ、そんなことか。わしも高唐州攻めの際に師から奥義を伝えられたもんじゃ。」 |
樊瑞 | 「では...」 |
公孫勝 | 「うむ。正式には明日と言うことにして、ちょっと教えてみるか。お主、その剣を抜いて面前に立てよ...」 |
樊瑞 | 「こう、ですかな?」 |
公孫勝 | 「それでよい。左手を挙げて、手首を返す。口訣はこうじゃ、『早来々急々如律令』...」 |
樊瑞 | 「こうして、『早来々急々如律令』と...」 |
公孫勝 | 「ようできた!後は一心に修行あるのみじゃ。」 |
樊瑞 | 「して、どのような術なので?」 |
公孫勝 | 「この口訣を唱えれば、どこにいてもわしには判る。SOSじゃな、所謂。」 |
樊瑞 | 「で、どうなるので?」 |
公孫勝 | 「わしが馬で駆けつけて、敵を倒すのじゃ。」 |
樊瑞 | 「...」 |