楊林 | 「なぁ、こんな話知ってるか?」 |
鄒淵 | 「なんでぇ?」 |
楊林 | 「昔むかし、石碣村に阮小七と言う正直でやさしい漁師が住んでいました...」 |
鄒淵 | 「なんで昔?」 |
楊林 | 「若い頃の話だ、黙って聞け。ある日、いつものように漁に出掛けた阮小七は、浜で子供達に虐められている陶宗旺を見つけました...」 |
鄒淵 | 「情けねぇなぁ、あいつ。」 |
楊林 | 「やさしい阮小七は、子供達に『これこれ、皆で弱い者を虐めてはいかん。これで飴でも買いなさい。』と小銭を与えて、陶宗旺を助けました...」 |
鄒淵 | 「そんなことがあったのか...」 |
楊林 | 「陶宗旺は『小七さん、ありがとう。お礼に竜宮城へご招待します。』と言いました...」 |
鄒淵 | 「竜宮城?」 |
楊林 | 「貧乏で正直な小七は『そんなつもりで助けた訳ではありません...』と言いましたが、気持ちは行く気満々です...」 |
鄒淵 | 「確かに正直だ...」 |
楊林 | 「陶宗旺は『そう言わずに、私に付いてきてください。』と言って小七を竜宮城へと誘いました...」 |
鄒淵 | 「それで?」 |
楊林 | 「酒楼『竜宮城』は県でも有数の高級料亭です。二人は女を上げて心ゆくまで楽しみました...」 |
鄒淵 | 「くっそー、俺も一度でいいから行ってみてぇなぁ...」 |
楊林 | 「やがて、『竜宮城』の女将が玉手箱に入れた請求書を持ってきました...」 |
鄒淵 | 「高いんだろぉなぁ、きっと...」 |
楊林 | 「その時、陶宗旺はなけなしの財布を子供達に奪われたことを思い出しました...」 |
鄒淵 | 「やっぱり...」 |
楊林 | 「元々、陶宗旺の持ち金で遊べるような店ではありません。店の奥から、朴刀を持った大男が五人程やってきました...」 |
鄒淵 | 「...」 |
楊林 | 「朴刀を突きつけられた上、二時間に渡る暴行を受け、恐怖の余り二人の頭髪は真っ白になってしまいました。コレデドンドハレ。」 |
鄒淵 | 「...(号泣)」 |