楊林 | 「なぁ、こんな話知ってるか?」 |
施恩 | 「何々?」 |
楊林 | 「昔むかし、あるところに貧乏で心やさしいおじさんとおばさんが街道筋に住んでいました...」 |
施恩 | 「なるほど。」 |
楊林 | 「ある日、おじさんが街に薪売りに行った帰り道、罠に掛った鶴を助けてあげました...」 |
施恩 | 「へぇ。」 |
楊林 | 「助けられた鶴は嬉しそうにおじさんの廻りを飛びながら、帰っていきました...」 |
施恩 | 「ほお。」 |
楊林 | 「それから幾日か経ったある日の夜、おじさんたちの家に道に迷った娘が訪ねてきました...」 |
施恩 | 「どきどき...」 |
楊林 | 「やさしいおじさんたちは娘を泊めてあげることにしました...」 |
施恩 | 「そ、それから...」 |
楊林 | 「子供のいないおじさんとおばさんは、娘に『うちの子にならないか?』と聞くと、娘は『喜んで。』と言いました...」 |
施恩 | 「下心があるんじゃ...」 |
楊林 | 「ある日、娘はおじさんたちの貧乏な暮らしを見て、『私がどうにかいたしましょう。』と言いました...」 |
施恩 | 「ど、どうするんだ...」 |
楊林 | 「娘は『お願いがあります。おじさんには手伝って欲しいんですけど、おばさんは決して見ないでください。』...」 |
施恩 | 「来た〜...」 |
楊林 | 「娘は時々おじさんと部屋に入ると、何かを作ってせっせと二人で街に売りに行き、お金をおばさんに渡しました...」 |
施恩 | 「そ、それは...」 |
楊林 | 「おばさんは言われた通り、部屋を覗くことはありませんでしたが、遂に我慢しきれずに覗いてしまいました...」 |
施恩 | 「だめ〜...」 |
楊林 | 「するとそこには、見てはいけないおじさんと娘の姿が...」 |
施恩 | 「な、何ということを...」 |
楊林 | 「おばさんの視線に気付いた娘は、『見たな...』と言うと...」 |
施恩 | 「いや〜...」 |
楊林 | 「次ぎの日、久しぶりに娘は街に饅頭を売りに行きました。娘とおじさんが住む辺りは、”十字坡”と呼ばれているそうです。コレデドンドハレ。」 |
施恩 | 「そ、それが真実なのか...(泣)」 |