呉用 | 「ちと、相談に乗って貰いたいんだが...」 |
単廷珪 | 「なんでしょう?」 |
呉用 | 「ほれ、うちは火事対策が全然出来てなくって。」 |
単廷珪 | 「あぁ、季節も防火予防なんちゃらの季節ですしね。」 |
呉用 | 「うむ。でな、水と言えばお主なんで、梁山泊の防火対策に智慧を借りようと思ってな。」 |
単廷珪 | 「いや、軍師。お任せください。得意なんすよ、防火訓練。」 |
呉用 | 「いやいや、訓練の前に対策をまず考えようと思ってな。」 |
単廷珪 | 「対策、と言うと?」 |
呉用 | 「だから、例えばあちこちに消火用の池を作っておくとか、そう言う根本的な対策さ。」 |
単廷珪 | 「だって、周りはみんな水じゃないですか。」 |
呉用 | 「何を言う。そりゃ、金沙灘やら鴨嘴灘はそれで済むかもしれんが、水から離れたとこはどうするんだよ。」 |
単廷珪 | 「そうか、梁山って広いんですよね。忘れてた...」 |
呉用 | 「江ノ島とは訳が違うんだよ、梁山は。」 |
単廷珪 | 「失礼しました。」 |
呉用 | 「まぁ、そんなことはいいから、何か智慧は無いかな?」 |
単廷珪 | 「池じゃ駄目なんですか?」 |
呉用 | 「それもやるけど、そこから桶で汲み上げて消火するんじゃ、手遅れもあるかと思うんだ。」 |
単廷珪 | 「なるほど。一発消火みたいな手ですね?」 |
呉用 | 「うん。どうかな?」 |
単廷珪 | 「う〜ん、あるにはあるんですが...」 |
呉用 | 「あるけど、なんだ?」 |
単廷珪 | 「ちと大掛かりだし、効果が有り過ぎると言うことも...」 |
呉用 | 「なに、構うもんか。非常の場合の手段じゃから。」 |
単廷珪 | 「では言いますけど、可能不可能は別ですよ。」 |
呉用 | 「意見を聞くだけだ。採用するかどうかは別だから。」 |
単廷珪 | 「簡単なんですよ。黄河を堰き止めて、火事になったら一気に堰を切り落とすと言う...」 |
呉用 | 「なんだ、水攻めじゃないか。」 |
単廷珪 | 「そうです。でも...」 |
呉用 | 「いや、判った。なんだ、そうだよな。早速手配を...」 |
単廷珪 | 「あっ、軍師。ちょ、ちょっと...」 |