関勝 | 「軍師、今回の敵はさっぱり手応えがありませんでしたな。」 |
呉用 | 「左様。あんなに簡単に敗れるとは自分でも考えていなかったが...前評判では手強い敵だったのだが...」 |
関勝 | 「まさか、策ではなく、行き当たりばったりで勝ったと?」 |
呉用 | 「何を言うか。壮大な計略を立てたのだぞ、今回は。相当手間暇掛かっておるし。かなりの者がこの計略に関わっておったのも周知の事実だ。」 |
関勝 | 「では、やはり軍師の策が成ったと言うことですか。」 |
呉用 | 「うむ...と、言うのもちと違うな。」 |
関勝 | 「はて?如何なることで?」 |
呉用 | 「つまりだな、策は立てたんだが、敵が予想外に弱すぎて、策にはまらなかったのに自ら敗れ去ったと言うか...」 |
関勝 | 「つまりは策としては失敗だったが、僥倖で勝てたと言うことですか...」 |
呉用 | 「あ...いや...じ、実は今回は二重の計略だったのだ...」 |
関勝 | 「どういうことでしょう?」 |
呉用 | 「第一の策が当たらない場合、運で勝つと言う...」 |
関勝 | 「...それは、計略とは言えんでしょう...」 |
呉用 | 「いや、りっぱな計略だ。わしが考えたんだが...」 |
関勝 | 「なんか先程と言っておられることが違うような...」 |
呉用 | 「”運も実力の内”と言うではないか。」 |
関勝 | 「ま、まぁ、世間では言いますな。」 |
呉用 | 「今回のこの計略、壮大な計画と前評判を無視して、あっさり楽勝してしまうと言う、名付けて『歪通計』だ!」 |
関勝 | 「そんなこと言って、恥ずかしくありませんか?」 |
呉用 | 「...」 |