花栄 | 「なぁ、前からちょっと気になることがあるんだけどさ。」 |
秦明 | 「何だ?俺のことか?」 |
花栄 | 「いや、統制のことじゃないんだ。実は黄信のこと。」 |
秦明 | 「差し障りのない範囲なら話してもいいぞ。」 |
花栄 | 「何、大したことじゃないんだけどね。渾名のことなんだけども。」 |
秦明 | 「”鎮三山”のことか?」 |
花栄 | 「そう。あれって、昔から呼ばれてたのかな、と...」 |
秦明 | 「う〜ん、そう言われてみれば...どうだったかなぁ...」 |
花栄 | 「そう言っちゃなんだけど、武芸もまぁ中の上ってとこだしさ。」 |
秦明 | 「確かにそれほど出来の良い弟子じゃなかったが...」 |
花栄 | 「魯智深や武松が知らないのは当然として、周通とか燕順も聞いたことないらしいね。」 |
秦明 | 「そう、昔はそんな渾名はなかったな、やっぱり。」 |
花栄 | 「じゃあ、”自称”の口か、想像した通りに。」 |
秦明 | 「自称かどうかは知らんけど、裏工作くらいはしたかもな。」 |
花栄 | 「そう言う性格なのか、黄信って?」 |
秦明 | 「何とも言えないが、青州の兵馬都監になった頃から耳にし始めた筈だから、部下とか使って...」 |
花栄 | 「イタいなぁ、そう言うの...」 |
秦明 | 「悪い奴じゃないんだが、実力以上に自己顕示欲が強いんだよ、あいつ。」 |
花栄 | 「なるほど。ある意味、”鎮関西”と同じくらい羞恥心のない渾名だもんな、自称だとしたら。」 |
秦明 | 「同じ自称でも、”小覇王”くらいだと憧れてんだなぁ、なんて理解できるがな。」 |
花栄 | 「だよな。ああ、すっきりした。ありがとな。」 |
秦明 | 「いや、構わんよ。」 |